いろんな幸せ

寝たきり状態の生活も三日目に突入。左腕には点滴をして、右のわき腹にはドレーンがぶら下がっているので、服を着替えることができない。一人では顔を洗うことも、歯を磨くことも、髭を剃ることも、洗髪することもできない。なんだかとても虚しく思えた。

午前のレントゲン撮影によると、昨日のクランプ後から、肺は膨らんだままの状態を保っていたらしい。というわけで、夜に退院できることになった。午後、ドレーンを抜く。抜いた瞬間、空気が入らないように、こちらの呼吸と先生とのタイミングを合わせて引き抜き、傷口を縫合。ドレーンが抜けて、ずいぶんと体が軽くなった気分だ。歩いてトイレにも行けるし、歯も磨ける。病院内を探検したり、階段も上れる。顔も洗えるし、洗髪もできるし、髭も剃れる。たったこれだけの事ができるだけでも、とても幸せに感じた。二年前もそうだったけど、病気になって入院をすると、毎日、平穏無事で健康であることが一番、幸せに感じる。それ以上の何を望むというのか、とまで思ってしまうほどだ。しかし、退院してしばらく経つと、それが当たり前となってしまい、どうしてもそのありがたさを忘れてしまいがちだ。